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交通事故と睡眠時無呼吸症候群(SAS)
運送業・ドライバーの方へ ~交通事故と睡眠時無呼吸症候群(SAS)~
運転中に眠たくなることはありませんか?
睡眠中に呼吸が止まった状態(無呼吸)または呼吸が弱くなった状態(低呼吸)が断続的に繰り返される病気を睡眠時無呼吸症候群(SAS)といいます。
その結果十分に睡眠がとれず、日中の眠気、集中力、活力に欠ける、居眠りがちになる、居眠り運転で事故や重大事故などを起こしやすくなります。
有病率は日本の人口の2%~4%と推定されており、詳細は明らかになっていませんが、治療が必要な重症度の方に限定しても300万人以上と推計されています。
しかしながら、現在欧米や日本国内でもっとも普及している治療法であるCPAP療法でも治療者数は現在、わずか20数万人程度と言われており、現状では多くの方がまだ未治療のままです。
睡眠時無呼吸による事故はこんなに起きています
事故発生年・場所
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事故状況
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2002年 和歌山 | 乗用車が対向車線にはみ出し、軽乗用車と正面衝突。3人が重軽傷。乗用車の運転手は中等から重症の睡眠時無呼吸(SAS)と診断。 |
2003年 岡山 | 山陽新幹線で運転士(身長170cm、体重100Kg)が居眠りをしたまま時速270Km/hrで約30Kmを運転。けが人なし。運転士は睡眠時無呼吸(SAS)と診断。事前にしっかりと10時間は睡眠をとっていた、とのこと。 |
2003年 名古屋 | 名古屋鉄道新岐阜駅で、急行列車が車止めに衝突、脱線して乗客4人が負傷。 運転士は、その後の検査で睡眠時無呼吸(SAS)と診断。事前に会社がおこなったアンケートでは、眠気などの自覚症状は全くなかったそうです。 |
2004年 東京 | 羽田発の全日空機で、機長が飛行中に居眠り。 操縦室にいた国土交通省職員の指摘でいったん目を覚ましたが、再び居眠り。自動操縦中のため、乗客・乗員に怪我はありませんでした。 事故後の調査では、睡眠時無呼吸(SAS)と診断されました。 |
2005年 山口 | 貨物船が停泊中であった液化ガス船に衝突し、重油が周辺に流出する事故となりました。 事故後の調査では、睡眠時無呼吸(SAS)と診断された見張り役の航海士の居眠りが原因とされました。 |
2005年 滋賀 | 名神高速道路でパンクのため低速走行をしていたワゴン車に大型トラックが衝突し、多重事故が発生。7人が死傷。トラック運転手は重度の睡眠時無呼吸(SAS)と診断されていました。 |
2008年 山形 | 高速バスの運転士が運転中に眠気を催し走行が不安定になったため、乗客がバスを停車させて事故を防いだ。 |
2008年 愛知 | 大型トレーラーが赤信号の交差点に進入。横断歩道を渡っていた男性は死亡。運転手は重度の睡眠時無呼吸(SAS)であることが判明。 |
2009年 長崎 | 遊漁船が岩場に衝突し釣り客ら3人が死傷。船長が睡眠時無呼吸(SAS)と診断されており、慢性的な睡眠不足であったことが判明。 |
2010年 横浜 | 横浜市営地下鉄で電車が駅から800m通り過ぎました。 運転士は無線連絡で通過に気付いて駅に戻りました。運転手は睡眠時無呼吸(SAS)の疑いがあり、経過観察中でした。 |
2012年 群馬 | 関越自動車道で走行中のツアーバスが運転手の居眠りにより防音壁に衝突。乗客45人が死傷。運転手には睡眠時無呼吸(SAS)症状が確認された。 |
2012年 東京 | バス運転手の居眠りにより、関越自動車道でツアーバスが防音壁に衝突し、7人が死亡、乗客39人が重軽傷を負いました。運転手はその後の検査で睡眠時無呼吸(SAS)と判明。 |
2012年 東京 | 渋滞中の首都高速湾岸線でトラックがワゴン車に衝突。ワゴン車に乗っていた6人が死傷。眠気を感じてから仮眠状態に陥るまで約1.5キロ、さらに事故に至るまで約1.5キロを運転していたとされる。トラック運転手に睡眠時無呼吸(SAS)症状が確認された。 |
睡眠時無呼吸(SAS)と交通事故
これまでの多くの研究によれば、睡眠時無呼吸は運転能力を低下させることが明らかにされています。睡眠時無呼吸による居眠り運転で発生する事故は、特に
● ひとりで運転中
● 高速道路や郊外の直線道路を走行中
● 渋滞で低速走行中
に多いといわれています。
重度の睡眠時無呼吸の患者さんは、短期間に複数回の事故を引き起こすことが多いと言われています。また、そのような人は睡眠時無呼吸でない人に比べ交通事故のリスクが約2. 4倍であることが示されています。
さらに、日本の男性トラック運転者の約7-10%、女性の約3 %が中等度以上の睡眠呼吸障害であることが報告されています。
また、道路交通法などでも、「重度の眠気の症状を呈する睡眠障害」は自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気とされており、睡眠時無呼吸の早期発見・早期治療は必要不可欠です。
まずは簡易検査を受けましょう
運転中の眠気を感じる方は、たんなる寝不足や疲れとは思わずに、早めに検査を受けてみましょう!
また、下記のような症状に心当たりのある方にもぜひおすすめします。
◆大きないびきをかく
◆夜中に何度も目が覚める
◆起床時の頭痛やだるさ
◆日中いつも眠い
※症状のある方は保険証がご使用いただけます。
当院では、ドライバーの方などお仕事で運転される方のためにスクリーニング検査も実施しております(実費)
睡眠時無呼吸の検査はご自宅で行います
睡眠時無呼吸の有無を検査する簡易検査【簡易PSG:ポリソムノグラフィー】はご自宅で行っていただけます。
いつもの布団、いつもの枕で、いつもの睡眠環境で検査が可能です。
● 仕事が忙しくてなかなか入院の予定が立てられない
● 入院だと緊張して寝るので検査結果が正確か心配だ
などという方も安心してお気軽に検査を受けることが可能です。
睡眠時無呼吸がある方は治療を開始しましょう
こちらは実際にCPAPという睡眠時無呼吸の治療機器を装着しているところです。
初めは見た目がおおげさな印象を受けてしまいますが、慣れてくると「CPAPなしでは寝た気がしない」と治療効果を実感される方が多いです。
睡眠時の無呼吸や低呼吸が改善されると熟睡感が得られ、日中の眠気が軽減されます。
当院ではオンライン診療がご利用いただけるため、通院の負担を減らしつつ、治療をしっかり続けることが可能です。
睡眠時無呼吸について何でもご相談ください
当院では睡眠時無呼吸の検査・診断から治療まで一貫して行っております。
また、生活習慣病の治療にも精通しているため、併存している糖尿病や高血圧、脂質異常症などの治療も同時に可能です。もちろん、状態が安定している方はこれらの治療についてもオンライン診療がご利用いただけます。
お気軽にご相談ください!