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痛風
痛風とは?
痛風は尿酸が体の中にたまり、それが結晶になって激しい関節炎を伴う症状になる病気です。正しい治療を受ければ全く健康な生活がおくれますが、放置すると激しい関節の痛みを繰り返したり、体のあちこちに結節が出来たり、腎臓が悪くなったりする重大な病気でもあります。
尿酸とは?
尿酸は遺伝子を構成するDNAや、体内のエネルギーを担当するATP(これらはプリン体とよばれます)が体内で分解されてできた老廃物(燃えカス)で通常、一日約700mgの尿酸が作られます。プリン体は細胞の中に存在しているものですので、植物性・動物性問わずあらゆる食品に含まれています。
作られたプリン体は主に肝臓で分解され、尿酸プール(約1,200mg)に入った後、尿や便・汗などから体外へと排せつします。この尿酸の産出が多くなるか、排泄が低下すると尿酸プールの限界容量(約1,500mg)を超えてしまい、高尿酸血症の状態になります。
なぜ関節が痛くなるの?
尿酸は血液中に溶け込んでいますが、量が増えると溶け切らない尿酸が全身の関節の中に結晶となりたまり始めます。運動などをきっかけに結晶が関節の中に剝がれ落ちると、自身の免疫機能が働き、その結晶を攻撃し始めます。白血球などの免疫細胞が攻撃を始めた時、その関節の中で炎症を引き起こす様々な物質が出ます。これが痛みの原因となるのです。
詳しい流れは以下のとおりです。
白血球が尿酸結晶へ近寄ってきます。尿酸結晶を異物と認識した白血球は自身に取り込み、リソゾームの中でどん食を開始します。その際に炎症性メディエーターと呼ばれる様々な化学物質が放出され、炎症が起きます。
激痛のピークは24時間後
痛風は血液の尿酸値が高い状態(これを高尿酸血症*と言います)が長く続きます。これを放置すると、ある日突然、足の親ゆびの付け根などの関節が赤く腫れて痛みだします。痛みは激烈で、耐えがたいほどの痛み(これを痛風発作と言います)です。痛風発作はたいていの場合、24時間前後で痛みのピークをむかえ、1週間から10 日たつとしだいに治まって、しばらくすると痛みはなくなります。
(*高尿酸血症:血液中の尿酸の量が増えて、その濃度が7.0mg/dLを超えた状態のこと)
痛風発作は繰り返します
痛風発作の痛みは、炎症を抑える薬を服用することで治る事が多いですが、痛みが引いても、関節に尿酸塩結晶がある限り再発する可能性があります。このため、痛風(高尿酸血症)に対してお薬で治療が始まって血液中の尿酸値が下がったとしても、関節中の結晶が無くならない限りは発作が起きる可能性はあります。
一般的に1年以内にまた同じような発作が起こることが多いです。そして、このような発作を繰り返しているうちに、足首や膝の関節まで腫れはじめ、発作の間隔が次第に短くなってきます。このまま無治療で経過すると、次第に腎臓が悪くなったり、尿路結石が出来たりする人が出てきます。最終的には重症の慢性痛風になる可能性も高いので放置するのは危険です。
痛風発作消失の目安は尿酸値が6.0mg/dl以下となってから約5年以上、ともいわれています。
痛風になりやすい人
以下に当てはまる方は要注意です。
- お酒や甘い清涼飲料水をよく飲む
- プリン体の多い食品を好む
- 野菜が苦手
- 早食い、大食い
- 外食やコンビニ食、間食が多い
- 激しい運動をすることが多い
- 20歳以上の男性
- 肥満
- 日常生活でストレスが多い
- 親戚・家族で痛風の人がいる
- 水分を日頃あまり摂らない
- サウナによく入る
合併症にも注意が必要です
また、血液の尿酸値が高い人は高血圧をはじめ心・血管障害や脳血管障害の可能性が、尿酸値が正常の方より高い事がわかっています。これを防ぐためには尿酸値以外の動脈硬化のリスクにも注意する必要があります。
痛風はなぜ男性に多いの?
痛風にかかるのは20歳以降の男性が圧倒的に多いです。これほど男女差のはっきりした病気も少ないのですが、理由は痛風の原因である尿酸の血液中の濃度(血清尿酸値)が女性では男性より低いからです。女性ホルモンには腎臓からの尿酸の排泄を促す働きがあるからで、閉経後に女性ホルモンの分泌が減ると尿酸値は少し上昇します。従って、女性でも女性ホルモンが低下すると、この影響は小さくなります。つまり50歳を越えると男女の尿酸値の差は徐々に小さくなります。しかし、女性が全く痛風にならないかと言うと、そうではありません。遺伝的な病気、薬物の影響、その他の特殊な状態により女性も痛風になります。